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2013年4月15日 |
<3月の倒産のまとめ> −業界内の倒産事例は計109社− |
弊社で独自に集計している電機・エレクトロニクス業界の倒産事例で13年3月に報道したものは、続報なども含めて延べ109社だった。今年に入ってからの弊社報道の倒産件数をみると、1月104社、2月91社で、この3カ月では3月が一番多い。また今年は2月までは知名度の高い際立った倒産事例というのがなかったが、3月に入ってジャスダック上場の半導体プローブカードメーカー、東京カソード研究所が民亊再生を申請している。さらに倒産とは必ずしも言い切れないが、基板実装のマリーナ電子(茨城県笠間市)が3月28日に地域経済活性化支援機構から再生支援を受けている。
電機・エレクトロニクス業界内での倒産で、負債額が判明しており、さらにその負債額が1億円を超えるものは表中のように26社あった。そのうち負債額が最も大きかったのはやはり前出東京カソード研究所だが、負債は32億円とずば抜けて大きいわけではない。
ちなみに1年前の2012年3月の業界内負債筆頭は、TABテープなどパッケージ基板メーカーの新藤電子工業(東京都墨田区)でその負債額は260億円だった。さらにその前月の2012年2月にはエルピーダメモリの倒産があり、同社の負債額は製造業としては過去最大規模の4,480億円だった。エルピーダメモリの例は特別としても、このところ大型倒産は減少している。しかし中小企業の倒産については依然として続いているというのが実態とみられる。
ちなみに昨年更生法を申請した新藤電子工業は、今年3月15日付当欄でも近況を追加取材して報じたように、上場大手VCのジャフコを事実上のスポンサーとして、持株会社の下で再建を進めており、エレクトロニクス事業としては千葉工場を実質的な本社工場として再出発している。またエルピーダメモリも会社更生計画案が今年2月28日東京地裁の認可を受けている(3月1日付続報)。
なお電機業界にとどまらない全体の倒産事例をみると、東京商工リサーチの調査によれば、全業種での3月の倒産件数は929件、負債総額は1,591億1,000万円となっており、負債件数は対前月比は1.4%増、前年同月比は19.9%減、負債総額は前月比7.4%減、前年同月比は52.3%減だった。3月末で期限を迎えた「中小企業金融円滑化法」など各種金融支援の効果で倒産は抑制されており、また前年同月には6件あった負債100億円以上の大型倒産が今年3月には1件もなく、負債総額としても減少している。帝国データバンクの調べでもほぼ同様で、全業種での負債件数は836件、負債総額は1,446億2,300万円、件数は前月比2.6%減、前年同月比19.6%減、負債総額は前月比13.0%減、前年同月比は59.6%減となっている。
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<東京カソード研究所> |
3月14日付で東京地裁へ民事再生法の適用を申請、スポンサー支援を目指しながら自主再建を図るという形で、複数の企業からスポンサーが名乗りを挙げているとされる。申請代理人は新保克芳弁護士(TEL03−3242−1783)。保全命令も申請日に下りていて、監督委員には香川明久弁護士(TEL03−5226−0327)が選任されている。負債は32億円で大半が金融債務。半導体検査用のプローブカードを手がけ、大手家電メーカーや半導体メーカーを取引先に、連結ベースで08年3月期には151億円あった売上高がリーマンショックや半導体不況の低迷から2年後の10年3月期には62億円にまで低迷、さらに前12年3月期には31億6,000万円にとどまり、前期まで4期連続の欠損、今期も赤字見込みとなっていた。
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<マリーナ電子> |
経営状態が悪化するなか、メインバンクおよび主要取引先であるキヤノン電子などと協議のうえ、地域経済活性化支援機構に再生支援の申し込みを行い、3月28日に支援決定を受けている。一般債権の支払いなどは通常通り継続されるため、倒産とは必ずしも言い切れないが、金融債務については債権放棄などの支援を受けるため経営破たんしていることは否めない。マリーナ電子は、事業実態は変わらないが、金融債務を切り離すために同名の新会社の事業を移管して再出発する。ちなみに地域経済活性化支援機構は、かつて日本航空などを支援した企業再生支援機構が改組して発足した官民ファンド。マリーナ電子は、78年の設立で、基板実装を行い、DVD、デジタルカメラ、プリンタ、OA機器向けなどを手がけ、販売先としてはキヤノングループ向けを主体に、日立製作所、パナソニック、安川電機、東芝テック、IDEC、富士通、OKIなど上場大手メーカーを多く抱えていた。10年ほど前の03年10月期には436億円2,900万円という売り上げがあったが、その後材料の受給方式が有償から無償となったことによる影響もあるが、05年10月期は売上高が92億100万円と大きく減少、一部ユーザーとの取引終息もあり、前12年10月期売上高は32億7,844万円にとどまっていた。
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◇3月の電機業界における主な倒産(民亊再生含む)事例
(109社うち負債1億円以上の26社のみ抜粋)
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社 名(本社所在地) |
業 種 |
代表者 |
倒産形態 |
負債額(円) |
(株)東京カソード研究所
(東京都墨田区) |
半導体検査用
プローブカード製造 |
大久保尚武 |
民亊再生 |
32億 |
ニチエイ事務機(株)
(東京都千代田区) |
OA機器販売 |
井上昭夫 |
破産 |
24億8,600万 |
イーエムシー(株)(東京都港区) |
LED照明販売 |
近藤毅志 |
破産 |
16億 |
(株)EHS(名古屋市名東区) |
自動車補修 |
永江伸崇 |
事業閉鎖 |
15億2,000万 |
(株)東和観光(愛知県一宮市) |
パチンコ店経営 |
酒井宏壽 |
破産 |
11億 |
(株)ベーシックエンジニアリング
(東京都世田谷区) |
情報システム構築 |
蔵本武明※ |
特別清算 |
9億800万 |
山本鍍金工業(株)(大阪市生野区) |
メッキ加工 |
山本義人 |
事業閉鎖 |
8億 |
(株)ファインツール(長野県上田市) |
工作機械、OA機器販売 |
笠井勇 |
事業閉鎖 |
7億3,000万 |
(株)ツーワン(広島市安佐北区) |
太陽光発電用ウエハ加工 |
小川芳範※ |
特別清算 |
5億5,000万 |
(株)タケダ(大阪府富田林市) |
金型製造 |
竹田嘉彦 |
破産 |
5億 |
玉島機械工業(株)(兵庫県加西市) |
プラント部品製造 |
串田一裕 |
事業閉鎖 |
5億 |
日本アビオニクス販売(株)
(東京都品川区) |
プロジェクタ販売 |
露木満※ |
特別清算 |
3億5,000万 |
(株)田中精密金型(愛知県大府市) |
金型・プレス部品製造 |
田中和興 |
破産 |
3億 |
長谷山鋳造(株)(静岡県菊川市) |
機械部品製造 |
長谷山敏光 |
破産 |
2億5,000万 |
(有)サニー工業(東京都武蔵村山市) |
部品加工 |
岩田壽子 |
破産 |
2億2,000万 |
ミツエ・モールド・エンジニアリング(株)
(大阪府東大阪市) |
金型製造 |
三津江友幸 |
事業閉鎖 |
2億 |
村下産業(株)(大分県別府市) |
パチンコホール運営 |
村下信一郎 |
破産 |
2億 |
廣井電業(株)(東京都江戸川区) |
電線・ケーブル販売 |
廣井明 |
不渡り |
2億 |
大洋ハトメ産業(株)(大阪市西淀川区) |
金属部品製造 |
阿部正孝 |
破産 |
1億8,000万 |
(株)澤井電子(三重県津市) |
電子部品商社 |
澤井一雄 |
事業閉鎖 |
1億5,000万 |
(株)酒田感光社(山形県酒田市) |
事務機器販売 |
池田幸吉 |
事業閉鎖 |
1億5,000万 |
(有)阿部電気商会(栃木県鹿沼市) |
家電販売 |
阿部彰 |
破産 |
1億3,000万 |
(有)日隆製作所(福岡県宇美町) |
機械部品製造 |
日下部隆夫 |
事業閉鎖 |
1億1,700万 |
(株)テックエスティ(埼玉県川口市) |
油圧機器部品製造 |
三浦正太郎 |
事業閉鎖 |
1億 |
(株)フカヤパーツ(埼玉県深谷市) |
自動車部品・電装品販売 |
岡田亘弘 |
事業閉鎖 |
1億 |
(有)鈴秀製作所(浜松市中区) |
プラスチック金型 |
鈴木秀夫 |
破産 |
1億 |
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注)続報の会社および負債額不明の企業は除くが、民事再生から破産に移行の場合などは採録。
代表者の敬称は省略。代表者の※は代表清算人。 |
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記事を掲載した倒産企業の社名のみ掲載。記事本文は法人会員サイトのみでご覧になれます。
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3月29日 |
オメガメディック、中野工具製作所、IGCL、サンムーン、モビック |
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3月28日 |
日隆製作所、東日エンジニアリング(続報)、タケダ、ファクト、三和技研、アウトポート、シンエーイ産業、幸平工業、三栄スプロケット工業、旭砥石 |
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3月27日 |
澤井電子、菅沼ビジネスサポrート、西田電器、トレンドクリエイツ、帝国電業 |
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3月26日 |
サニー工業、糀工作(続報)、日本工業貿易、日本メディカルラバー工業、エネルギー21 |
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3月25日 |
エヌ・ティー・ジー・ダイワ、大洋ハトメ産業、クニデン、サンメイビジネスソフトウェア |
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3月22日 |
ミューズシステム、千葉ニチカ、東將電機、東日本サービス、葵プランニング、東洋機工 |
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3月21日 |
YOCASOL(続報)、東日システム(続報)、新和電機商事(続報)、日進エンジニアリング、江戸屋工芸、サンアリックス、育英商会 |
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3月19日 |
酒田感光社、フカヤパーツ、宮脇製作所、サン空調システム、KBアドバンス |
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3月18日 |
イーエムシー、山本電気水道(続報)、ピーエスシー、白川電気 |
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3月15日 |
東京カソード研究所、ミツエ・モールド・エンジニアリング、日本電測、大徳産業、ミツイアンドカンパニー、水野ウェブシステムズ、ネオスペースフロンティア |
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3月14日 |
ツオーン、マックス(続報)、鈴秀製作所、小山農機、原電光社、精華通信建設、大三システムズ |
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3月13日 |
廣栄電子産業、ファインツール、長尾メツキ工業所(続報)、ツーワン、村下産業、ディーアンドディー、阿部電気商会 |
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3月12日 |
イトイ(続報)、Bamboo forest、長谷山鋳造、ビッグオン、シー・アール総研 |
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3月11日 |
和宏(続報)、廣井電業、田中精密金型、ベーシックエンジニアリング |
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3月8日 |
EHS、タカラマシナリー. サービス |
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3月7日 |
日本アビオニクス販売、Eco(続報)、アイズ、ユータック |
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3月6日 |
B3テクニカル、高田鉄工(続報)、麻屋、ムサシ電設 |
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3月5日 |
山本鍍金工業、テックエスティ、玉島機械工業 |
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3月4日 |
ブロワーマン、東和観光、松葉鉄工所、河島商会、九州ビット、マックス東海 |
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3月1日 |
ニチエイ事務機、白幡精工、鈴木精工、創元、桑原鐵工所、山崎鉄工、グランド・メディカルシステム、ムラタ、ユナイテッドコミュニケーションサービス |
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