購読料金
 (毎日更新)
法人向けサイト 月額 3,900円 (年払い、プラス年間1万円で週刊ジャーナルも郵送)
個人向けサイト 月額 2,500円 (6カ月 or 年払い、年間契約は1カ月分サービス)
 HOME企業分析 > 企業分析見本
<アルバック>(6728)
2011年5月13日
参考資料 アルバックのデータベース
     (会員サイトでは各社データベースにリンク。
データベースの見本はデータベース欄にあります)

連 結 2007/6 2008/6 2009/6 2010/6 2011/6
期初予想
売上高(百万円) 239,151 241,212 223,825 221,804 230,000
経常利益(百万円) 16,105 5,075 835 4,942 6,500
当期純利益(百万円) 7,335 3,610 811 2,138 3,400
純資産額(百万円) 94,365 91,853 90,158 102,504 -
総資産額(百万円) 317,577 303,069 318,076 313,784 -
株主資本率(%) 28.4 29.1 26.4 31.3 -
1株当たり
純資産額
(円)
2,105 2,052 1,961 1,992 -
1株当たり
当期純利益
(円)
170 84 18 46 -

売上構成 真空機器事業81%、その他19%
2010年6月期


 今11年6月期の業績予想を白紙に戻した。既に3月までの1〜3四半期累計(10年7月〜11年3月)業績は固まっており、実際には通期でもほぼその趨勢は見えているが、「不確定要素が多い」ことを理由に白紙撤回した。ちなみに1〜3四半期累計では、震災関連の影響で36億2,900万円の特別損失を計上したことから、最終で11億8,000万円の最終欠損となっている。ただ弊社で独自に確認したところでは、通期では黒字を確保する可能性が高い。しかしその黒字化への要素がまだ流動的なため、あえて第4四半期に既に入ったこの段階で通期業績予想を「未定」にしたもよう。

 アルバックの1〜3四半期累計業績は、売上高が前年同期比14.8%増の1,727億3,000万円、経常利益は同4倍増の25億7,900万円となったが、前出震災損失など含め特別損失を42億4,700万円計上したことから、最終では前述のように11億8,000万円の欠損となった。ちなみに通期予想は、表中の期初予想を震災前の今年1月に修正、売上高の2,300億円はそのままだが、経常利益は45億円に下方修正、当期利益は貸倒引当金50億円余を計上することで4億円(黒字)に見直していた。

 こうしたなか、第4四半期(4〜6月)だけで12億円の黒字を出すのは一般的には困難で、このままだと通期でも欠損に転落するのは避けられないとみられる。ただ会社側では、欠損転落を避けるために相殺する特別利益や営業外収益の計上などを計画している。具体的には、前出した貸倒引当金を転売することなどが候補に挙がっている。これは太陽電池製造装置事業における韓国アルティソーラー向けの売掛金の一部回収ができない怖れがあるため計上したものだが、この売掛金を転売することでいったん計上した引当金を全額ではないものの戻そうというもの。

 ほかにも、太陽電池製造装置での大型受注の案件などの計上で不透明な部分があり、このため売上高以下利益項目すべてでの予想をいったん撤回したものとみられる。1〜3四半期累計業績から勘案すると従来予想への到達は利益面では困難だが、最終的にはほぼ従来予想ラインに到達、黒字を確保する可能性は残っている。

 なお震災後の第4四半期については「受注は第3四半期を上回る見込み」とコメントしている。アルバックの四半期ベースでの受注推移は、第1四半期(7〜10月)から順に、604億円、419億円、518億円となっており、受注ベースだが仮に第4四半期が第3四半期以上だと通期での累計受注は2,300億円内外にまで届くことになる。ちなみにアルバックの会計基準は「工事進行基準」で、納品後ではなく、装置製造の進行にあわせて決算計上している。納期そのものも現在では最短では1カ月程度のものもあり、受注と売り上げの差異は以前ほどではない。

 足元の受注状況は、FPD製造装置は大型液晶テレビ用などは一部停滞、また液晶テレビの不振からマテリアル事業(スパッタターゲット)が減少しているものの、スマートフォンやタブレットPC用の中小型ディスプレイ用は堅調に推移している。また太陽電池製造装置は、薄膜系などでの投資意欲が減退しているが、結晶系は堅調で、EV用急速充電器ビジネスなども拡大しているとする。

 地震に関連しては、FPD製造装置など生産を手がける子会社、アルバック東北(青森県八戸市)が被害を受けた。工場の設備そのものの影響は軽微だったが、八戸港で出荷手続きをしていた製品が津波の被害を受けたもので、このためこの棚卸資産の損失33億7,400万円を特別損失で計上した。ほかに特別損失では、アルバック東北や自身の筑波超材料研究所(茨城県つくば市)の一部設備の修繕など2億5,500万円も計上している。なおアルバック東北は震災後数日で操業を再開している。